用語集

ADL(Advanced Distributed Learning)

1997年に設置された米国の国防総省系組織。企業や団体として法人格を有している組織ではなく、国防総省の内部組織として、eラーニング規格の標準 SCORM(Sharable Content Object Reference Model)を提唱し、世界にその採用を促している。

e-Learning(eラーニング)

パソコンとインターネットを中心とするIT技術を活用した教育システムをeラーニングと呼ぶ。米国をはじめとして世界各国で研究が行われていた CAI(Computer Aided Instruction=コンピュータの支援による教育)は、当初、教材をCD-ROMなどで配布する形体が主流だったが、配布コスト、配布後の内容修正 の困難さ、学習進捗の一括管理の難しさなどの問題があった。
その後、インターネットの普及や企業内ネットワークの広がりによって、教材をインターネットで配信する「WBT」(Web Based Training)や、学習者のコンテンツ管理やスキル目標の設定、学習の進捗状況などを一元的に行う「LMS」(Learning Management System=学習管理システム)を使用したシステムが主流になってきた。
講師と学習者が教室に集まる集合教育は時間や場所が制約されるが、ネットワーク化の進展によって、コンピュータとネットワークさえあれば、そうした制約を受けず、いつでもどこでも学ぶことができるという大きなメリットを獲得した。
その他のeラーニングのメリットとしては、以下の点がある。

・講師の質の違いに学習者が影響されない
・個々の学習進捗状況に合わせて、何度でも繰り返し学習ができる
・学習者の理解度に合ったきめ細かな学習の設定ができる
・最新の内容を早く、安価に配信できる
・多くの学習者に同一の教材を一律に提供することができる
・職場を離れずに学習できるので、集合研修より時間・間接コストの削減ができる

しかし、集合研修がすべてeラーニングに置き換えられるわけではない。ブレンディッド・ラーニング(Blended Learning)と呼ばれるeラーニングと集合研修を組み合わせた学習形態は、eラーニング単独の場合より教育効果が高いという例が多く報告されてい る。eラーニングに適した学習と適していない学習を見極めて、それに応じた学習の形態や方式を使い分けることが重要になる。また、eラーニングは、特に企 業で、教育ツールとしてだけでなく、ナレッジマネジメントやパフォーマンス・サポートのインフラとしても期待されている。

ERP(Enterprise Resource Planning)

人材、資産、情報など企業内の様々な経営資源を有効利用し、統合的に管理、最適に配置する経営手法のこと。国内外のシステムベンダーがERPのためのパッケージソフトウェアを発売している。

FAQ(Frequently Asked Questions)

一般的には、多くの人から、頻繁に出される質問という意味で使われるが、Webサイトなどでは、多く寄せられると予測される質問、あるいは実際に問い合わせが多かった質問などをまとめ、回答とともに掲載する質問回答集をいう。eラーニングでFAQは学習者の質問へのタイムリーな回答方法として活用される。従来の集合学習や、CAI(Computer Aided Instruction)などを利用した学習では、質問者に速やかに回答しにくいという問題があるが、FAQを活用することで、学習者のニーズをある程度満たすことができる。また、学習者の満足度を上げ、ドロップアウトを防ぐ方法としても、eラーニングにおいてFAQは欠かせない存在になっている。

LMS(Learning Management System)

eラーニングの運用に必要な機能を備えた管理システムのこと。学習管理システムとも呼ばれる。LMSには、一般的に次のような機能を備える。

・学習者の登録、変更、削除
・教材の登録、学習者への教材の割り当て
・学習者個人の学習履歴、学習進捗状況、成績の管理
・成績集計、統計分析機能
・情報共有用の掲示板の設置や、学習者に対するメール送信

システムによっては、学習者の行動を把握して教材の改善に役立つ分析機能や、学習意欲を維持、向上させるための機能などを備えるものもある。また、異なるLMSでも同じ教材が利用できるように、SCORMと呼ばれる標準化がなされている。標準化により、高品質な学習教材が安価に提供されるようになると期待されている。

LOM(Learning Object Metadata)

Learning Object(LO)に関するメタデータをいう。メタデータとは「データに関するデータ」で、対象となるデータの性質を記述するために用いる。LOMの場合、対象となるデータ(LO)は、教育・研修に使用されるデジタル、非デジタルリソースで、eラーニングコンテンツ、マルチメディアデータ、教育用ソフトウェア、教科書、問題集、集合研修など、教育・研修に利用可能なあらゆるものが対象となる。
このようなLOの性質を記述するために、LOMは以下のようなデータ項目から構成されている。

・一般:
LOのタイトル、内容記述などの一般的情報

・ライフサイクル:
LOの経歴状況やバージョン情報、LOの作成者の情報

・メタメタデータ:
メタデータ自体の作成者や更新履歴の情報

・技術的事項:
LOのデータ形式など技術的な特徴や実行環境条件などの情報

・教育的事項:
LOの難易度、想定学習者、タイプ(解説文・図表・演習)など教育的特徴に関する情報

・権利:
LOの知的所有権や利用条件の情報

・他オブジェクトとの関連:
他LOとの関連(前提・部分・派生、など)の情報

・注釈:
LOの利用におけるコメントおよびコメント作成者・作成日に関する情報

・分類体系:
LOがある特定の分類体系のどこに属するかの情報

LOMを使って、上記のような項目からなるLOデータベースを作成しておくと、必要な教育条件に合ったLOを検索・抽出することが可能となる。LOMの応用として、カリキュラムや育成体系の記述、LO再利用のためのリポジトリの構築、LO流通のための属性情報記述、などを挙げることができる。

MOODLE(Modular Object-Oriented Dynamic Learning Environment)

オープンソースで公開されているソフトウェアの一種で、インターネット上で授業用のウェブページを作るためのeラーニングプラットフォーム。このようなシステムはLMS (Learning Management System)やCMS (Content Management System)とも呼ばれる。
MOODLEは、コピー・利用・修正することが可能だが、ソースコードを公開し、元のライセンス表示を削除・修正することなく、同じライセンスをMOODLEから派生したソフトにも与えなければならない。
MOODLEは、1999年にMartin Dougiamasによって開発され、現在も彼のリーダーシップの元、全世界のユーザー(大学・高校・中学・小学校、非営利団体、企業、個人)やエンジニアによるフィードバックや議論により、進化を続けている。

PaaS(Platform as a Service)

プラットフォーム一式をサービスとして提供するビジネスモデルを言う。一方、ネットワーク経由でソフトウェアアプリケーションを提供するサービスは、SaaS(Software as a Service)と呼ばれる。たとえば、Google社は、自社の巨大なデータセンタを利用し、「Google App.Engine」という「PaaS」を提供している。
eラーニングではユーザーが利用する期間毎に比較すると、ユーザーアクセスのばらつきが極めて大きいために、従来は操作の快適性を確保するために過大なデータベースを用意する必要があった。若しくはユーザーの利用パターンを厳しく制御する必要があった。最近は大きなデータベースを時間単位で借りることのできる仮想技術を活用したクラウドコンピューティングを活用することで、低廉な費用と迅速なスピードで容易にデータセンタの容量を増やせるようになった。このクラウドコンピューティングの普及で過大なデータセンタへの投資が避けられるビジネスモデルが普及の兆しを見せ始め、PaaSが急速に注目されはじめた。

QTI規格(Question and Test Interoperability)

SCORM規格などと並ぶeラーニングに関する標準化規格のひとつ。演習問題、試験問題などテスト用のコンテンツの相互運用性を向上させることを目的として、研究・提言活動を推進してきた米国のコンソーシアム「IMS」が制定した。出題形式、解答形式、演習問題のグルーピングの方法などを定めている。
しかし、SCORM に準拠した LMSやコンテンツは広く普及しているが、QTI に準拠したLMS はほとんどないのが実状で、今後の普及に向けて、実際の研修に役立つ機能の実現に向けた検討や実証が期待されている。

ROI(Return On Investment)

投資(Investment)に対する利益(Return)のことで、投資対効果、投資収益率などと訳される。
eラーニングのROIは、2~3年ほどのある期間内でeラーニングを導入することで得られる利益を、eラーニングにかかったコストで割ることで簡易的に求められる。企業活動は、ビジネスで収益を上げることが目的で、eラーニングは収益を上げることを効果的に補完する手段のひとつにすぎない。eラーニングの導入も、研修出張費の削減といった部分的な最適化でなく、ビジネスで収益を上げることに対する戦略的な意思決定として行われるべきだと言われるようになった。
このような企業全体を経営的、財務的な観点から見る際にROIは有効な指標になる。eラーニングへの投資がどれだけ経営利益や収益に結びつくのかを評価し、投資の戦略的な意思決定を行うためにROIが重要なテーマとなっている。投資対効果の評価に熱心なアメリカでは、教育の投資効果の事例研究が発表されており、今後は日本でもeラーニングのROIがより大きな関心を集めるようになると考えられる。

SaaS(Software as a Service)

ネットワーク経由でソフトウェアアプリケーションを提供するサービスのこと。従来のユーザーは、ソフトウェアをパッケージ商品として購入し、自己のコンピュータにインストールして稼動させていたが、このSaaSの概念では、インターネットなどのネットワーク経由でサービスを利用し、そのサービス利用に対して料金を支払うことになる。このSaaSのユーザー側の利点としては、利用した期間・量だけのサービス料金で済む、コンピュータの管理が最小限で済む、常に最新のソフトウェアを利用できるなどがあげられる。eラーニングではこれまでのパッケージでLMSやコンテンツを販売するモデルから自社にパッケージを所有せず、コンテンツやLMSを必要なだけ利用するだけの契約によるASP(Application Service Provider)がこれまでのビジネスモデルであったが、さらに運営に関するサービスまで付加したSaaSが最近のビジネスモデルになってきている。

SCORM(Sharable Content Object Reference Model)

eラーニングのプラットフォーム(LMS)とコンテンツの間のインターフェースやデータ形式を規定した標準規格、でアメリカのADLという団体が作成した。最新版はSCORM2004である。
eラーニングでは、通常のWebサイトのようにHTMLで画面を表示することに加え、学習の時間や演習問題の採点状況や学習時間などのログ(記録)を取る。これらの機能を実現するプログラムをLMSと呼ぶが、開発者によってLMSの仕様が異なれば、他のLMSに学習教材(コンテンツ)を移植することが困難となる。
このような問題点を解決し、より共有化を進めるために、学習教材を作るとき、各教材に共通する機能と、それぞれの教材ごとに固有の機能を分離し、共通部分をLMS(Learning Management System)に載せ、固有の部分を教材コンテンツとして開発する、という発想が生まれた。LMSとコンテンツが分離していれば、コンテンツ部分だけを開発するだけでよくなり、出来上がったコンテンツは別のLMSに載せることができる。LMSとコンテンツを分離するには、両者間のインターフェースやデータの形式を規定しなければならない。SCORMはLMSとコンテンツの間のインターフェースやデータ形式を規定した標準規格で、アメリカのADLという団体が作成した。
SCORMでは、コンテンツはLMSに読みこまれる階層型コース構造、Webクライアント上で実行されるSCO(Sharable Content Object)、および、コース構造に付属するメタデータから構成されており、コース構造のXMLによる表現方法、および、SCOとLMSの間で演習問題の結果や学習経過時間を通信するためのデータ形式が規格として定められている。
SCORM規格が普及すれば、利用者側は多くのコンテンツベンダーの教材を自分のLMSで使用することができ、逆にコンテンツベンダーにとっては、自社のコンテンツが他のベンダーのプラットフォームでも使えるようになるため、コストをかけずにコンテンツの販路を拡大することが可能になる。このように標準化は、低コストで高品質なeラーニングサービスの実現に必須の要素となっている。

SCORMエンジン

eラーニングでは、通常のWebサイトのようにHTMLで画面を表示することに加え、学習の時間や演習問題の採点状況、学習時間などのログ(記録)を取る機能が必要となるが、SCORM規格に基づいたこれらの機能を実現するプログラムをSCORMエンジンと呼ぶ。実際に学習を実現するには、エンジンとしての機能のほかに、学習者情報の登録や、学習状況を閲覧するような学習管理系機能が必要となる。LMSは、これらのエンジンとしての機能と学習管理系機能から構成されている。
たとえば、SCORM2004学習エンジンは、SCORM2004に対応した教材コンテンツの配信を行い、同規格に定めるシーケンシング機能(コンテンツの学習順序制御)や学習履歴情報通信機能を提供する。

SCORM適合コンテンツ

SCORM規格に適合したコンテンツをいう。米国では、SCORMを制定したADLがLMSとコンテンツそれぞれについて、SCORM規格を満たしているかどうかを判定し、適合製品には認証を与えている。日本でもeLCが2002年にLMSの認証を、2004年にコンテンツの認証を開始し、認証された商品には、認証マーク、認証番号を交付している。
コンテンツの適合認証では、適合のレベルを3段階に分けている。具体的には、レベル1は、そのコンテンツが使用しているSCROMの機能で「必須機能のみ」、レベル2は「いくつかのオプション機能を使用している」、レベル3は「全オプション機能を使用している」である。なお、レベルに関する情報は公開されている。認証商品はパンフレットなどに明示して標準規格製品であることを宣伝できる。また、認証商品は利用者にも安心感がもたれる。

Work Flow Learning(ワークフロー・ラーニング)

これまでの人材育成の手段である集合研修などは、研修に参加するために仕事を外れなくてはならないが、Work Flow Learningとは、仕事を外れることなく仕事をしながらでも学習できる職場環境で学習することをいう。
Work Flow Learningを目指した職場にあるコンピュータプラットフォームでは仕事に必要な情報を得ることができ、必要なアドバイスを受けることや仲間と相談をすることができるような機能を持ち、そのような環境で仕事をしながら成長のできる組織で学習できる状況を指す。具体的には業務を行うコンピュータプラットフォームに狭義のeラーニング機能、SNS、情報共有のための検索エンジン、同じ目的や成長目標を持つ仲間がネットワーク上で集えるコミュニティ・オブ・プラクティス、学習履歴などを備え、各個人が自分のコンピュータ機能を自分の仕事や成長目標に合うように設定できるポータルサイト上で仕事をしながら学べる職場環境で仕事をすること。情報化社会で情報が非常に重要なリソースに変化してきているパラダイムシフトを反映した社会人の学習法である。

暗黙知(あんもくち)

情報化社会における企業の競争力を上げるには、組織的な知識創造力が重要な経営資源になるとピーター・ドラッカーやアルビン・トフラーなどの経営学者が指摘している。彼らは経営資源として知識の重要性を挙げ、その知識を暗黙知と形式知に分けた。暗黙知とは、働く人、一人ひとりの経験により築き上げられた個人的な知識や知恵であり、仕事のノウハウ、人脈、心情、信念、考え方、直観的判断力など無形の要素を含んだものであり文字化して表わすことのできない重要な知識群である。これが情報化社会での競争力の強化にきわめて重要な経営資源となると著者は指摘している。
進化したeラーニングシステムでは構造化されたコンテンツの提供のみならず、ソーシャルネットワーク(SNS)などを通じて暗黙知に近い情報の共有を図ることで、新人を早期に中堅レベルの業務能力を持つ人材へ育成する仕組みを有するようになってきている。
これらの学習法はコミュニティ・オブ・プラクティス(Community of Practice=CoP)と云われ、実践的な状況対応能力を学べることから状況的学習法と訳されている。

インストラクショナルデザイン (Instructional Design=ID)

eラーニングの導入計画およびコンテンツ開発における教育設計手法。IDはもともと米軍で兵士教育のコース設計のために開発されたが、その後米国の企業内教育の教育設計手法として普及した。現在米国の多くの企業がコンテンツ開発などにIDを用いている。IDは学習効率向上のためのシステム工学的手法であり、主な効果として、

 1、学習範囲の明確化などによる学習時間の短縮
 2、習得度の向上
 3、より正確な学習効果の測定
 4、均質で質の高いコンテンツ開発
 ――が挙げられている。

IDの一般的な開発ステップと各ステップでの主な作業項目は下記のとおりであるが、実際には作業項目はもっと細かく規定されている。

ステップ1 分析
 対象業務の分析、対象学習者の分析
ステップ2 設計
 習得目標の明確化、学習内容と提供順序の設定、提供手段と評価方法の整理
ステップ3 開発
 習得項目の設定、教材の作成とテスト
ステップ4 提供、実施
 メディアの作成・配付、学習の実施
ステップ5 評価
 テストなどによる習得度評価、活用度の調査、業績への貢献度評価
ステップ6 改善
 評価結果に基づくコンテンツの改善

オーサリングツール(Authoring Tool)

文字や画像、音声、動画などの要素を組み合わせて一つのソフトウェアやコンテンツを組み立てるソフトウェアのことをオーサリングツールと呼ぶ。特に、プログラミング言語やマークアップ言語などによるコードの記述を極力なくし、マウス操作など直感的な方法で作業を進めることができるようなもののこと。

異なる種類の素材データを組み合わせ、レイアウトや表示順、利用者の操作に対する反応などを設定し、統合されたものを特定のファイル形式(や、DTP系のソフトの場合は印刷物などの形)で出力することができる。最終的な成果物の種類に応じて「DVDオーサリングツール」「Webオーサリングツール」「Flashオーサリングツール」などのように呼ばれる。
eラーニングの場合もコンテンツを作成するソフトウェアをオーサリングツールと呼ぶ。SCORM規格によるLMSとコンテンツの標準化が進んできているので、SCORM対応のLMSで共通に利用できるコンテンツを作成するオーサリングツールも登場している。また、PowerPointやPDFなどのプレゼンテーションやWordなどで作成したファイルをeラーニングコンテンツに変換する機能を持つオーサリングツールもあり、目的や用途に合わせて選択することが重要である。

学習進捗管理

LMSの機能の1つで、管理者側と学習者側のそれぞれの機能がある。
管理者側の機能としてはLMSに登録された学習者の記録を参照して、学習の方針や計画を立てたり、学習を促したりする機能がある。学習者側では自分のペースで学習を行う非同期型(オンデマンド型)の学習ができる。また、LMSに学習者の学習履歴が保存されるので、学習者は自分の学習進捗状況を確認しながら学習を進めることができる。また、学習管理者はLMSのデータを見て、学習者1人1人の学習進捗状況や成績を把握・管理できる。LMSによっては、学習者1人1人の学習進捗状況に合わせて学習計画を立て、学習者が一定の進捗状況を保てる機能を持っているものもある。

形式知(けいしきち)

形式知とは暗黙知と対局に位置する情報の種類で、自分の頭のなかにある考え方や判断基準などの情報や知識を文書や言葉にして情報伝達が可能な形にした知識や情報のこと。実務能力を育成する教育の世界では、仕事で使う情報や知識は電子データ、電子ドキュメント、音声データなどの形式知にされていると、ICTシステムやeラーニングシステムなどにより情報や知識の蓄積、伝達、検索が容易にできるようになり、実務能力育成に極めて有効な働きを果たすと期待されている。代表的なシステム名としてはパフォーマンス・サポート・システムやナレッジ・オン・デマンドシステムとして商用化されている。
知識を暗黙知と形式知に分類し、その活用法を説く知識経営論で有名な一橋大学名誉教授の野中郁次郎教授が提唱した考え方が、主として教育や情報共有の世界で発展している。

コンテンツ管理システム(CMS:Course Management System)

コンテンツ管理システム(Content Management System。以下、CMSと呼ぶ。)のこと。eラーニングのみならず、あらゆるコンテンツ管理において利用されている用語であり、コンテンツに利用されるテキスト、写真、イラスト、動画、音声、レイアウト情報等を一元的に管理し、実際のコンテンツの構築や編集・更新を効率的に行うためのシステム。CMSには、詳しいウェブサイトやプログラミングの知識がなくてもコンテンツの制作・編集が行えるようなしくみが施されており、その導入メリットは少なくない。近年では、IT業界以外における企業のウェブサイトでもCMSの導入は進んでいる。

シミュレーション(Simulation)

物理的あるいは抽象的なシステムに対して事前にモデルを使って実験を行い、分析・予測する手法のこと。模擬実験とも呼ばれる。実際に模型を作って行う物理的シミュレーションと、数学的モデルをコンピュータ上で扱う論理的シミュレーションがある。
シミュレーションは実際に行う事が困難、不可能、または危険である場合や多岐にわたる選択条件を事前に検証する場合、現象の特定要素を変形させて検証する場合などに用いられる。
eラーニングでは主にコンピュータを活用することで、費用や時間、労力を最小限に抑え、安全性や経済性の高い学習結果を短時間で得ることができる。

集合知(しゅうごうち)

集合知とは、多くの人々により集積された大量の知識や情報が集まり、その集まった情報を組織が活用するときに持つ組織の”知”のこと。ICTやWebテクノロジーの発展により、知識や情報を集積しやすくなり、かつ検索エンジンで必要な情報を簡単に引き出せ、かつネット上で情報を共有するソーシャルブックマークなどにより情報の集合と共有が容易にできるようになり、その組織に属する人々の知識レベルが上がることから注目されている。

自社コンテンツ/オーダーメイドコンテンツ

自社用にカスタマイズしたeラーニングコンテンツをいい、カスタマイズコンテンツ、オリジナルコンテンツとも呼ばれる。
自社コンテンツは、企業独自の知識、スキル、コンピテンシーなどを社員に普及、浸透、理解させる狙いで作られ、「自社の商品知識」「自社の人材マネジメント方法」「独自の商品開発手法」などの分野が多い。一方、パソコン操作法の習得など、広く知識の共有や標準化が進んでいる分野の学習には、市販の汎用コンテンツやパッケージコンテンツの利用が適している。
また、作成するコンテンツの内容が複雑な場合や、動画などの難しい技術を利用する場合も、オーダーメイドコンテンツとしてコンテンツベンダーに開発を委託する場合がほとんどである。コストは高くなるが、完成度が高く、わかりやすいコンテンツが作れる。
新商品や新技術の解説など、短時間で開発して提供することが求められるコンテンツは、自社内で作成する方が適しており、自社で利用しているLMSに対応したオーサリングツールを利用し、スピーディに自社開発することで他企業との差別化や企業内教育の強化が可能になる。

タレントマネジメント(Talent Management)

現在及び将来の組織の目標を達成するために必要なスキルや資質を持った人材を見つけ出し、採用から配置、育成、自社への定着といった一連のプロセスを統合的に行うことによって一人ひとりの才能(タレント)を最大限に発揮させて成果に結びつける総合的な人材育成戦略。
多くの日本企業では人事部が採用を一括で行い、育成は現場の上司や社内の研修部門に任せるといったように部門間で別々で行っていることが多い。タレントマネジメントの概念を取り入れ中長期で人材開発を行うことで、企業の業績につなげる人材育成を戦略的に行うことができる。

ダイバーシティ(diversity)

多様な人材を活かす戦略のこと。企業内や社会における従来のスタンダードにとらわれず、多様な属性(性別、年齢、国籍など)や価値・発想などを積極的に取り入れることでビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応し、企業の成長と個人の幸せにつなげようとする戦略。この考え方はアメリカで生まれ、日本ではまず女性活用から始まった。その対象が外国人や高齢者、若者、障がい者などに広がりつつある。女性などに雇用機会を均等に与えるのが第一段階。それが現在では、多様化する市場にグローバル競争を勝ち抜くために多彩な人材を活かす第2段階を迎えた。その推進には経営トップの理解とリーダーシップがかかせない。

ナレッジマネジメント(Knowledge Management)

知識や情報を組織で共有し、有効に活用することで、企業戦略に生かしていこうとする経営手法。「知識経営」と訳される。
個人の持つ技能や経験や勘に基づくノウハウなどを、明確な言葉や数字などを用いて表現することで知識の体系化を行い、それを元に新たな知識や価値を創造していく。
このプロセスを繰り返すことにより企業の成長を目指す。
ナレッジマネジメントをサポートするツールとしては、知識の共有や活用を容易にするためのグループウェアやナレッジベースがある。

ブレンディッド・ラーニング(Blended Learning)

集合研修とeラーニングを組み合わせ、双方のメリットを活かした研修や学習の方法。学習の動機付けやスキルの習得を集合研修で行い、知識の習得はeラーニングで実施するのが一般的である。研修の時間や経費の削減だけでなく、それぞれの手法の特徴を活かした効果的な研修が可能になる。
たとえば、新人教育にブレンディッド・ラーニングを導入する場合、最初に業界知識や製品知識をeラーニングで自己学習させ、その後に集合研修を実施して社員としての動機付けを行ったり、マナーや実務スキルを教えたりするという方法になる。
集合研修とeラーニングの組み合わせには、以下のような多様な形態が考えられる。

1) eラーニング+集合研修
(事前学習を済ませた後、教室でインタラクティブな学習を実施する)

2) eラーニング+集合研修+双方向eラーニング
(事前学習と教室研修、その後のバーチャルクラス)

3) 集合研修+eラーニング
(集合研修後のフォローアップのために自己学習を実施する)

この場合のeラーニングには自己学習だけでなく学習者同士のディスカッションやバーチャルクラス、チュータリングやメンタリングも含まれる。

ヘルプデスク(Help Desk)

利用者がサービスを受けたりする時に抱いた疑問や不明点について問い合わせる窓口。eラーニングでは、パソコンの基本的な使い方や、ブラウザやネットワークの問題などのITリテラシー的なものから、学習する時の画面操作の方法などの学習者の疑問にメールや電話で回答する。また、コースの学習内容に関する質問の回答などチュータリングをヘルプデスクで行う場合もある。
ヘルプデスクには、多くの初歩的な問い合わせが寄せられることが多いため、事前の学習者へのお知らせや、FAQなどを設置するなどの工夫が必要。外部のASPを利用する時などでも、ヘルプデスクで答えられないものを次の問い合わせ先に転送する(エスカレーション)を社内で受けてすばやく対応する体制を作る必要もある。

ポータルサイト(Portal Site)

ポータルとは玄関の意味で、ポータルサイトはあるジャンルにおいて多種多様な情報をひとつに束ね、そこから関連する情報やサービスにアクセスすることができるWebサイトをいう。

ラーニングオブジェクト(Learning Object)

動画や音声、テブジェクトをデータベース化してライブラリに使用することもでき、需要に合わせて簡単にコースカスタマイズキストなどを組み合わせたマルチメディアファイルを使ったこま切れの研修コンテンツでありコンテンツやテストを含んだ学習教材を構成する情報群の基本単位。eラーニングでは学習コースの中の各章を独立した教材として提供し、受講者は自分が必要なものだけを学ぶ。 また、ラーニングオブジェクトをデータベース化してライブラリに使用することもでき、需要に合わせて簡単にコースカスタマイズすることが可能である。

ロールプレイング(Role Playing)

従来のWBT(Web Based Training)に加えて、ネットワーク上のバーチャルな世界に、想定される仕事の状況を作り、仕事を疑似体験すること。eラーニングでのロールプレイングを通じ、業務に活かせる知識やスキルの学習が可能になる。顧客訪問などのロールプレイングを自分のパソコンと対話しながら体験することで、各場面で必要なスキルを学習することができる。

ワークプレイスラーニング(Workplace Learning)

社会人が学習活動を行う際に、職場を離れて仕事を中断したりせずに、仕事を遂行しながら学習活動ができるという学習活動のコンセプト。2002年位から先進企業ではこのような学習環境の試験的導入がはじまり、2007年にアメリカのマークJ.ローゼンバーグが著書”Beyond e-Learning”を発表したことにより、このコンセプトが広く認知された。社会人が仕事をするには専門的知識や仕事に関連する情報、知恵などを活かすことが重要であり、情報化社会になると必要とする情報量が莫大になり、かつ情報の変化も業務遂行のなかで適切に活かす必要がある。
そのために生涯学び続けることが必要であるという認識が広まり、そのために職場を離れず、仕事を中断しないで必要な情報を入手できる学習環境を構築しようというコンセプトである。ワークプレイスラーニングにおける環境では、これまで馴染んできたeラーニングコンテンツをICT環境で学ぶ従来のeラーニングに加え、ネットワークで情報交換をするSNSや必要に応じ実務情報を検索して入手できる情報共有機能を備えている。また、人に教えるように加工されていない非構造化情報を入手して、仕事をしながら新しい職務内容や仕事に必要な情報を学べる職場環境であり、学びながら仕事ができ、かつ成長のできる情報環境に裏付けられた学習環境である。